鬼平犯科帳

 今日も暑かった。
 何もいうことはございません。
 朝からソファーに寝転がったまんま、時に寝て、時に目を覚まして…。
 『鬼平犯科帳』を読んでました。
 なにしろ恰好がいいですからね。
 粋だよ、長谷川平蔵さんは…。

 台東区のあれは図書館でしたかね。
 その一画に池波正太郎の書斎をそのまま再現したコーナーがあります。
 いかにもそこから出てきそうな雰囲気です。 
 この人は待乳山聖天の真ん前で生まれた人だからね。
 なんたって江戸っ子の血が流れているのです。

 まあそんなことはどうでもいいとして、今日のは17巻目。
 特別長編『鬼火』でした。
 面白い。
 旗本と呼ばれる人種の暗部を実にうまく描いています。
 実は朝からこればっかり読んでた訳じゃありません。

 その前に鹿島田真希の『冥土めぐり』を読みました。
 こっちはやたらと暗い。
 どちらかといえば。もう一つの『99の接吻』の方がよかったかも。
 いつだったか芥川賞をとった人のようです。
 どこかで聞いた名前だなあと思い出したのでね。

 人間は冥土とこの世の間をどうやら行ったり来たりしている生き物なのかも…。
 過去に生きないと、未来にも生きられない悲しい存在なんです。
 また小説を書きたいなとつい思ってしまいました。
 学生の頃は、そんなことも考えてましたね。
 やたらと懐かしい。

 何度か最終選考にも残りました。
 これも懐かしい。
 でもあの時、賞をもらっても、結局ネタが続かなかったな。
 そんな気がします。
 書き続けるのには、才能だけじゃ足りない。
 神が必要です。
 これは絶対にね。

 降臨してくるものと心中する気持ちにならないとな。
 車谷長吉さんみたいなもんかも。
 あの人も喉になんかつまらせて死んじゃった。
 つい、この間のことです。
 あれがきっと神と交感した人の最期の形だ。

 あとは消えちゃう。
 ランボーかサン・デグジュペリみたいね。
 それしかないのだよ。
 おそらく。
 あとは何重のカーテンの中にこもって、プルーストよろしく「失われた時」を書き続けるのです。
 どっちにしても悲惨な結末だね。

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