風化

 あれから4年がたちました。
 短いね。
 前任校で卒業させた生徒たちが、皆この春に大学を卒業します。
 感慨がありますね。
 ちょうど、卒業式の前で予行をやる予定でした。
 その日にまさか、あんな地震があるとは…。

 あの日、学校に泊まりました。
 家に帰れない生徒が殆どで、渋谷まで行って戻ってきた生徒もたくさんいました。
 炊き出しをしました。
 わかめの入ったまぜご飯だった。

 まさか化学室で段ボールを敷いて寝るとは思わなかったな。
 翌日、家に戻ったのは昼過ぎでした。
 電車が寒くて、暗くて、エスカレーターも止まってて。

 あれからもう4年。
 福島の人はなかなか帰れそうもありません。
 高台に移転するのも容易じゃない。
 他の土地へ行った人たちは、そこで新しい生活が始まった。

 子供たちにも新しい友達ができて…。
 元のところへ戻っても誰もいない。
 家もない、店もない。
 あるのは海までずっとみえる平地と何本か残った松だけ。

 除染なんていったって、どこへ捨てればいいのか。
 なんにも解決しないまんま、どこへ行くんですかね。
 暗いね、未来は。
 原発ありきの論理には、ドイツの首相もさすがにお手あげだ。

 昨日は落語と漫才を聞きました。
 笑っていられるうちが、花なのよ。
 そのうち、笑えなくなるでしょ。
 そんな予感がいたします。

 それでも人は生まれてくる。
 子供たちの未来はどうなるのかね。
 風化するのです。
 なにもかも。
 人は歴史に学ばないのです。
 いや、学べないのかも…。

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