君の名は…

Diary

今日は午後から映画を見にいってきました。
前から新海誠のピュアな世界にひかれていたからね。
しかし今回の映画はエンタテイメントに傾きすぎた気がしたな。
これは彼本来が持っているものとは少し違う。

大手の資本と繋がったことで、かなり無理をしたみたいです。
作品の伏線は隕石の落下にある。
これは明らかに東北の地震を意識してます。
自然災害に出会った時、人はどう行動するのか。
カタストロフィーを避ける手段はあるのか。

脇の線としては男女が入れ替わるというストーリーもある…。
これで愛情の行方を追うことは可能でしょう。
しかしあまりに後半でやりすぎたせいか、どこで終わらせていいのか迷った形跡があるね。
何重にも救いのプロセスを作らなければ、観客は納得しないと考えたのかな。

新海誠という人は基本的に救いの限界を知っているはずだよ。
初期の作品はそうだった。
それをより多数の観客に受け入れられるための方策に走らせたのは何かな。
どうしてもそこに目がいってしまうのだ。
やはり資本の論理があったのかな。

初期の作品に比べてあまりにもスタッフの数が多いのだ。
何百人という人たちに支えられて、映画が完成してます。
興行的には大成功だけど、ぼくには納得出来ない部分が多かったね。
基本的な詩はある。
祈りへの信頼もある。

ここは彼の世界そのものだ。
しかしその後の味付けには、大林宣彦の「転校生」や「君の名は」のあのメロドラマのワンシーンまで周到に用意して…。
必要なかったよ。

諏訪の自然は岐阜に移植されて生きてます。
それと同時に東京の都会の風景がこれでもかとふんだんに織り込まれてる。
背景担当の人たちの確かな技術もよくわかる。
でもコンテンツこそが最後の砦ででしょ。

今回の成功で、次回の作品製作は明らかに苦しくなると思うよ。
ジブリの鈴木敏夫さんのようなプロデューサーがどうしても必要だ。
外界とのバリアーを正確に築き上げてくれる、冷静な目を持った人の出現が待たれるね。

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