喜多能楽堂

Diary

なんだかとっても涼しいですね。
どうしちゃったのかな。
長袖でもいいくらい。
突然、秋になった感じです。
今日は前から行こうと思っていた目黒の能楽堂へ出かけました。

学生時代に一度だけ行ったことがあります。
なんとなく風景は覚えているものの、ぼんやり…。
とにかく記憶を頼りに歩きました。
杉野女子大の隣だったのと、線路が見えたのを覚えています。
すごい大昔の話だよ。

途中にある教会にはたくさんフィリピンの人がいました。
何をやっていたのかな。
タガログ語のオンパレード。
東京にいる人がみんな集まってるのかなあ。
とにかくいろいろな国の人が住んでいる都市なんですよ、東京ってところは。

その少し先にお目当ての喜多六平太能楽堂はありました。
懐かしかったね。
観世能楽堂も移転しちゃうというし…。
渋谷から銀座へというコースはどういうもんなのかな。
あの松濤の静けさはよかったんだけどね。

演目は「俊成忠度」。
これは『平家物語』の例の歌を知らないと…。
俊成に自詠の巻物を託した薩摩守忠度の風情がいじらしいのです。
それほどに歌の道に命をかけたということでしょ。

行き暮れて木(こ)の下蔭を宿とせば花や今宵の主ならまし

これは文法的にいうと、「せば」と「まし」で反実仮想というのです。
簡単にいえば、仮定法だ。
平家の男たちはみんな現世に思いを残したまま死んでいったんですね。
だからいっそう、あはれが増すのだ。
武士でありながら、せめて歌でだけでも名を残したいというせつない気持ち。

こういうのがまた能にはぴったりきます。
なにしろ、鎮魂の芸能ですからね。
また行きましょ。
あの笛の音を聞いてるだけで、穏やかな心持ちになれるもんね。

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