に誘われて、近くの山を歩きました。どっか遠くへも行きたかったけど、暑いしね。ぼくの家の周囲にはまだ緑がたくさんあります。ちょっと歩くと、もう山なのだ。
というわけで、ぼちぼちと分け入っていったのだよ。
なんたってすばらしいのは、ウグイスの鳴き声。これはものまねじゃない。本物なのです。毎朝、聞いてますなんていうと、嘘みたいだけど、毎日聞こえてくるのだ。それと風の音ね。さらさらさらさらと青葉が光に映えて揺れ動く様子はなんともいえません。
ついふらふらと歩いてしまいますよ。トンボ池なんてところには、ほんとにトンボがいるのだ。なんてことでしょ。山道を一人で歩いていると、実に心地がよろしい。
それにひきかえ、先刻まで読みふけっていた三遊亭円丈の『ご乱心』がこの世のこととは思えません。やだね、ああいう世界は。あまりにも狭すぎる。苦しすぎますよ。とかなんとかいいながら、あっと言う間に読んじゃいましたけど…。面白すぎる。こんなことがあっていいのかね。事実でしょ。一面のね。
他の人にはまた別の事実がある。歴史は常に誰かの目で見た認識の結果ですから。
それにしてもだ。あんまりだね。
ここのところ、ちょっとどっぷりつかりすぎた。そろそろ這い上がって新鮮な娑婆の空気を吸いたいです。当分この手のものは遠ざけることにいたしましょ。そうじゃないと、火傷をするのだ…。