読了

Diary

買い物へ行って少し家をあけたけど、それ以外はずっと本を読んでました。
矢内原伊作の『ジャコメッティとともに』です。
半分までは通勤途中の電車。
残りは今日です。

後半はもうとまりませんでした。
これだけ自分に真剣だった芸術家はそういないんじゃないのかな。
もちろん、創造する人間はみな似たようなもんでしょうけど。
それにしても度が過ぎてる。

普通ならどこかで切り上げるということもあるはずだよ。
しかしこの人には全くそういうところがありません。
サルトルに言わせると、「彼は虚無に向かって走り続けている」ということになるのです。
言葉にするのは簡単だけど、実践するのはね。

矢内原はその後何度パリに赴いたことか。
それも、ただ彼の前に座って肖像画を描いてもらうためだけの目的で。

ジャコメッティは突然死にます。
1966年、65歳でした。
あまりにもあっけなく、この世を去るのです。

不可能を夢見たという意味で、ぼくは高橋和巳を少しだけ連想したよ。
もちろん、全く生き方は違うけどね。
あの時奥さんの高橋たか子は「夫は不可能を夢見て旅立った」と病床日記に書きました。
最後の小説のタイトルは『遙かなる美の国』でした。

ジャコメッティの奥さん、アネットはどうだったのかな。
矢内原のアパルトマンを訪れ、着ているものを次々と脱いでいく彼女の姿がすごい。
これは小説じゃありません。
現実はこういうものなのかも…。

これからはいつでも展覧会へいくことができます。
何度読んでもすごい本はすごい。
ただ圧倒されました。

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