つい3週間ほど前、京都の平安神宮でみた桜が、今も強烈に目に焼き付いています。
あんなにみごとな紅枝垂れ桜ははじめて見ました。
あの桜を使った映画といえば、もう30年も前に公開された市川崑監督の「細雪」があげられます。
幸い、ぼくのコレクションにあったので、久しぶりに見る気持ちになりました。
最初は、ちょっと四姉妹が桜の下を歩くところだけという軽い気分だったのに、見始めたらやめられなくなっちゃいました。
オンブラマイフの曲にのせて、あの桜の下を歩くシーンは圧巻です。みごとだ。
古い価値観が崩れていくその直前の姿を描いた作品です。
滅びていくものはどうしてこんなにきれいなのか。
不思議だなあ。
源氏の世界との類似性をよく語る人がいます。
折口信夫なんか、その急先鋒だったかな。
もちろん映画なので小説とは違います。
小説の方がもっと長い期間にわたっています。
描写も密です。
何度読んでも飽きない不思議な小説っていうのはあるものです。
そのうちの一つがこれかな。
また読みたくなっちゃった。
前の学校にいた生徒で、ずっとこの本を持ってる女の子がいました。
韓国へいった修学旅行中もずっとこの本の話を二人でしました。
空港の待合室なんかでね。
四人の姉妹のうち、誰が一番好きかとか…。
内容はかなりマニアックだったかも…。
彼女、難しい試験をパスして、某大学の文学部に入りました。
今は歌舞伎研究会にいるみたい。元気にしてるかな。
さて作中で狂言回し的な役割を担う二女幸子は谷崎の奥さん、松子がモデルになってます。
この人を奥さんにするまでの顛末は、それだけで一つの物語になります。
ここいらの話はお好きな方が勝手に研究すればよろし。
今日はいつもと調子が違うな。
これが文学の持つ力ちゅうもんやおへんか…。
なあ、こいさん。
おまけに式子内親王の桜の歌を二つ。
今さくら咲きぬと見えてうすぐもり春に霞める世のけしきかな
はかなくて過ぎにし方を数ふれば花にものおもふ春ぞ経にける